気功とは



1.気功の歴史
気功の歴史は古く、紀元前3000年頃の、新石器時代末の土器に「亀の呼吸」をしていると思われる人物の図が描かれている頃からはじまる。
中国古代の健康法として古くは、導引、吐納、練気、行気、静座、座禅、内功などと呼ばれていた。
中国伝統医学の教科書『黄帝内経』の気功の記述には、「精神を清浄無欲にすれば、真気もおのずと保たれ、その精気が精神をしっかりと保ち、病気をよせつけない。呼吸で精気を養い、意識の調整により無我の境地に達し、身心合一の状態になる」とある。
それ以降の歴代医書の中にも気功の記載は数えきれないほどある。
解放後の気功の発展は1950年代、現代気功の父と呼ばれる劉貴珍によって「気功」としてまとめられ、国家として気功の医療機関を設立、研究が進められ、広く注目をあつめるようになった。


2.気功の分類
気功の流派は、医家、儒家、道家、仏家、武家の五大流派に区分され、さらに各流派にまた、それぞれの小流派がある。
そのために呼吸を主とした吐納功、静を主とした静功、立式を主とした站粧功、動と静の結合を主とした動功、意念導引を主とした導引功、自己按摩を主とした保健按摩功など、功法は非常に多い。



気功図


3.気功とは
  気功とは、調身(姿勢・形)、調息(呼吸)、調心(意識・意念)、自己摩擦、身体運動など広範囲な内容を含み、中国古代の功法を吸収した総合的な全体療法である。
@姿勢調整:一定の動作       ・・・「調身」
A呼吸鍛錬:内気運行のコントロール ・・・「調息」
B身心のリラックス:意念の集中と運用・・・「調心」
の三要素を総合したものであり、体内の気を練ることを主眼とし、正気を養うことを、主たる目的とする自己鍛錬法を「気功」と呼ぶ。
  気功の「気」は、呼吸の気を意味するだけでなく、人体内の正気をも含み、気功の「功」は、練功の熟練度、深まりのことで、実際に実践の深まりがあってはじめて、体質を増強し、疾病を予防・治療する効果が得られる。
  「松・静・守・息」の四つの鍛錬法は人体の全体的な機能改善をめざす全体療法である。

@松(鬆)・・・身体を弛緩させ
A静   ・・・気持ちを安静にし
B守   ・・・意識を丹田に下ろし、そのまま維持して
C息   ・・・呼吸を整える

1) 気功法の姿勢は、立式、座式、臥式、歩行式など、流派や功法、目的によって異なるが、どんな功法でも共通して要求されることは、自然に放松(ファンソン−リラックス)するということである。古典にあるように、一般的には、「腰、脊柱、頭、頸、骨筋を柱のごとくまっすぐにし、耳と肩とが、鼻と臍とが同一垂直線上にくるように合わせ、舌を上顎につけ、無理なく、のびやかな状態」にする。具体的には、@虚領頂頸A沈肩墜肘B含胸抜背C収腹松腰D尾閭中正などという言葉になる。

2) 気功法の呼吸は、やはり流派や功法、目的によって異なるが、一般的には、初学者は、自然呼吸、から始め腹式順呼吸、腹式逆呼吸、停頓呼吸(内養功)などを無理のないよう、リラックスして用いる。

3) 気功法の意識(意念)も、流派や功法、目的によってそれぞれ大きく異なる。意念するものとしては、身体の外部に意念をおくものと、身体内部の特定の場所、経穴、経絡や脊椎などに意念をおくものがある。一般には上丹田、中丹田、下丹田などの意守丹田や良性意念(是定的なイメージ)を用いる。内養功では文字を用いている。


4.医療気功の臨床効果
  1955年河北省に気功療養所が建てられて以降、特に潰瘍病、胃下垂症、高血圧症、肺結核といった慢性病に対して良好な治療効果をあげた。上海市では、現代の科学的方法を用いて気功の原理の解明が行われ、呼吸、循環、神経系統に対する実験研究に加え、臨床、研究、教育機関の協力体制も強化され、研究の基礎が整えられた。その結果、疾病の予防、治療の面では、潰瘍病など慢性の消化器疾患にはじまって、しだいに多くの慢性疾患の治療に応用されるようになった。たとえば慢性肝炎、肺結核、肺気腫、硅肺、気管支喘息、神経衰弱、糖尿病、腎下垂、緑内障、妊娠中毒症、子宮脱、慢性骨盤腔内炎症など。また急性病でも、たとえば急性虫垂炎には治療法として用いられている。さらに外科手術の前後や、鍼麻酔との併用など、補助手段のひとつとしても取り入れられている。


5.気功錬功と精・気・神
  気功の鍛錬と中医学理論の中で、陰陽論、臓腑論、経絡論と共に重要なのは、「精・気・神」の基礎理論である。古典にも「一身の宝というべきものは、精・気・神である」とあり、これらは人体を構成し、その生命活動の元になる物質であり、生命現象およびその変化の根本である、といわれている。気功法は身体内部を意識的に鍛錬することを主体とする功法であるから、それは体内の精・気・神を鍛える功法であると言い換えることが出来る。
  馬済人の「中国気功学」より、この項をまとめてみる。

1)精
  人体にある有用な精微物質のすべてを指しており、また人体を構成する基礎物質である。
精に関する認識をまとめると、次の二つになる。

@先天の精
A後天の精

2)気
  気とは、体内を流れる栄養に富んだ精微物質であり、また、生命を維持する活動エネルギーでもある。
  「真気、すなわち元気のこと。天の気は鼻によって受け、喉がこれを主る。水穀の気は口より受け、咽がこれを主る。未生の初に集まるものを、先天の気という。生れて後に成るものを、後天の気という。陽分にある気を陽気といい、陰分にある気を陰気という。表にある気は衛気といい、中焦にある気を営気という。脾にあるものは充気、胃にあるものは胃気、上焦にあるものは宗気、中焦にあるものは中気、下焦にあるものは元陰・元陽の気という」(『類経』)。
  このように気の名称は限りなくあるが、大きく概括すれば主なものは以下の四種である。

@元気(原気、生気、真気)
A宗気
B営気
C衛気

  衛気の性質は気功法では、気感として初学者にもとらえやすいので少し説明しておくと、衛気はいたるところに遊走するのが特徴であり、脈管にとらわれることなく脈の外を運行する。つまりこの気は体表を保衛し、外邪に抵抗する作用をもつので衛気といわれるのである。


3)神
  思惟・意識活動を指し、また内在する臓腑の精気が外に現れた徴候をも指す。神の基礎にあるのは精である。「生命力のよって来たるところを精といい、陰と陽の両精が結びついたものを神という」
  人の思惟活動の反映としての神は、心との関係がもっとも密接である。そこで、「心は神を蔵す」といわれる。「神に随って往来する者を魂といい、精に並んで出入りする者を魄という。・・・・心にあれやこれやと憶う気持ち、それを意という。その意が何かを定めたのを志という」。ここでいう魂・魄・意・志は、名称が異なっても実質的には神に属している。神はこれらを含めた人間の思惟・意識活動を総称したものだということである。
  「黄帝内経」には、「心は神を蔵し、肺は魄を蔵し、肝は魂を蔵し、脾は意を蔵し、腎は志を蔵す」とある。


4)精・気・神の相互関係と気功鍛錬
  精は基本物質であり、気は原動力、神はこれらをコントロールする制御者である。
  精と気とは生かし生かされる関係にある。「神は気より生ず。気は精より化し、精は気に化し、気は神に化す。ゆえに精は身の本なり、気は神の室なり、形は神の宅なり」。
  神は人体の生命活動としての具体的な現れを指し、その材料が精と気なのだが、これらもまた神の支配を受けるという関係である。
  「故に神労するときは則ち魂魄が散じ、志意が乱れる」。これは肺・肝・腎・脾の正常な機能に、神が大きな役割りを果たしていることを表現した文章である。なかでも情緒の急激な変化が人体に与える影響は非常に大きいものである。


心とからだの研究会  
ホリスティックヘルススクール     
じゆう工房  主宰 外山 美恵子